社報めばえ 2026年 春号 掲載記事

背から肘、そして脚へと連続する造形が際立つNo.7800ダイニングチェア。
ゆるやかな曲面で支える背当たり。両腕を優しく受け止めるフルアーム。滑らかな凹凸が体にフィットする座面。
「座るほどになじみ、心も体もくつろげる一脚」の機能美に迫ってみます。

曲木と、背の取り付け角度・肘との位置関係により、背あたりの良い程よい曲線を創出しています。
背の柾目の一枚板を曲木加工することで、耐久性を損なわず、木目の通った端正な表情を生みだしました。

曲木加工とは?
浜本工芸がおこなっている曲木加工は、高温の蒸気で蒸した木材を型枠でプレスする方法です。
削り出しや、挽き曲げと異なり、木の繊維を断ち切ることがなく、木目を美しく、強度を保てることが特長です。
この加工には、ねじれや割れが生じやすいため、熟練の技が必須です。
浜本工芸では、曲木の技術をいち早く自社に取り入れ、長年技術の追求を続け、ノウハウを蓄積しています。
お尻の形にフィットしやすいように凹凸をつけて加工しています。長時間座っても疲れにくく快適な座り心地となっています。
機械とロボットの正確性・均一性に手仕事の感性を加え、木肌の温もりや質感を引き出しました。

掴みやすく、立ち座りの動作もスムーズに行えます。天然木ならではの温もりとやわらかな手触りが、心地よく手になじみます。
一本の木材から両肘を作る「一本取り」により、左右の肘の風合いに対称性と一体感を持たせました。

脚部はロクロ加工によって、下に行くにつれて細くシャープな印象に仕上げています。
荷重を支える充分な強度を保ちつつ、重量感を感じさせない柔らかなラインに仕上げました。

最終工程でフレームと座を合体させて完成するのですが、一脚一脚に個性があり、また、塗装色によっても印象がガラリと変わり、木工ならではの難しさと面白さが凝縮された椅子です。この椅子は撫でたくなる様な曲線が多いので、特に触り心地には細心の注意を払っています。将来、孫にあげて喜んでくれる姿を想像しながら仕上げています。 【出島工場 組立職長補佐 家田 和幸】
